② 九州電力とNTTの電柱の移設交渉

2023年10月
これまで車が通行することが殆どない赤道だったこともあって、狭い道の両端の同じ場所に九州電力とNTTの電柱が立っており、左右の道幅がさらに極端に狭められている状況に、
地域住民は声を上げることがなかった。しかし住民の生活に支障をきたすような電柱の建て方は改善すべきではないかという想いから、2社の電柱をまとめて1本にして九州電力の電柱にNTTの電線を載せ替えるなり、せめて九州電力電柱とNTT電柱は道のどちらか一方の側に並べるとか、斜向かいに立て替えるとかするように、九州電力とNTTに要望を伝えることとした。
まず現場に来てくれたのは、九州電力のOさんだった。九州電力としては、住民の要望も理解できるとのことで、敷地の所有者の承諾がもらえるなら道に建っている電柱を移設するし、その費用負担については全額九州電力が負担しますという回答であった。
NTTに対しては、NTTの電柱移設申込の専用ホームページから電柱移設の申込みを行なった。工事概算金額は130万円と表示され、担当者から連絡が来るとのことであった。
その後、NTTから連絡があり、現地にて九州電力担当者とNTT担当者を交えて打ち合わせをすることとなった。
九州電力のOさん、NTTからは工事下請業者の西部電設からTさんが現地に来て、打ち合わせを行なった。
まずEさんの空き地前の電柱をEさんの敷地内に移設して、梅村組の社有地の南端の直角カーブの電柱は60cmセットバックすることで合意した。費用は全て九州電力負担とのことである。
一方のNTTは、電柱移設希望者が工事費用を全額負担するのが原則で、詳細は下請会社なのでお答えできないとの一点張りで話が進まなかった。

2023年12月
九州電力の電柱移設について、キャナルシティでEさんに会って説明し、Eさん所有空き地への九州電力の電柱移設に合意をいただいた。

2024年3月
九州電力としてはNTTからの申請待ちの状態が続いていたが、一向に連絡がないとのことだった。
九電のOさんの話では、下請会社のTさんでは話が成立しないので、NTT本社の権限のある人に話を持っていってみたらどうかとのアドバイスをもらった。

2024年4月
NTT長崎支社へ出向いて権限のある社員に相談しようと考え、長崎へ向かった。たまたま駐車場横の喫煙所でタバコ休憩をしていた社員さんに声をかけたところ、この人物が長崎地区の営業責任者であった。このMさんに今までの経緯を説明して相談したところ、長崎支社の工事部門の責任者から電話させますという回答を得た。
後日、NTTフィールドテクノのKさんから電話があり、詳細な見積書を作成して、郵送しますとのことだった。

2024年5月
NTTフィールドテクノのKさんから見積書が送られてきて、金額は100万円であった。基本的に電柱移設を申請した人が費用負担するというのがNTTの基本姿勢であるとのことだった。
あまりに事業の公益性を無視した考え方だったので、田中理事長がNTT長崎支社のMさんに電話をかけ、もう少し現場の住民に寄り添った対応をしてくれるように頼んだ。
その結果、一度現地を見に来て、九州電力のOさんを交えて打ち合わせをすることになった。

2024年6月
NTTからはフィールドテクノのKさん、佐世保地区の工事責任者の西部電設のTさん、九州電力のOさんで現地打ち合わせを行なった。
冒頭田中理事長が、NTTも事業の公益性を鑑みた対応を、九州電力のようにしてほしいと要望した。固定電話もインターネット回線も今の白南風エリアで使っている住民はほぼいないのに、電線だけは電柱を乱立させて通しているのに、電柱移設の費用負担は一切知らないという対応は間違っていないか?と問いただした。
西部電設のTさんが理解を示してくれた結果、梅村組の社有地の北端から、Eさんの空き地、そして梅村組の社有地の南端までの通りの電柱について、統廃合をして整理をして、軽自動車が通行するのに妨げになっている箇所の除去を、NTTと九州電力の費用負担で行うことで合意した。
Eさんの空き地の前の電柱の敷地内への移設が完了したら、速やかにNTTの電線を九電の電柱へ載せ替えて撤去する予定である。梅村組社有地の南端の直角カーブのNTT電柱は九電の電柱へ載せ替えて撤去で合意した。これらの工事は年度中に完了予定とのことである。

残りの梅村組社有地の北端の角の九電の電柱も、移設して、そこにNTTの電線を載せ替えて、NTTの電柱は撤去する予定であるが、この箇所が、九電とNTT、佐世保ケーブルテレビの電線が複雑に交差しており、また電線以外の設備等も架装された場所なので、工事完了まで4年ほどかかる見込みとのことである。

2025年1月 【電柱移設工事完了(1本目)】

 福岡在住のEさん空地前道路の電柱について、九州電力の電柱を敷地内に新しく立てる工事が完了しました。今回は新しい電柱を立てて九電の電線を架線するところまで工事が進みました。あとはNTTの電柱の電線をこの新しい電柱に移設して、古い電柱を2本(九電とNTT)を撤去すれば完了します。

↑ 九州電力の新しい電柱

↑ 一番右が新設した九電電柱。真ん中が今までの九電電柱。一番左がNTT電柱。

↑ 今回の電柱は坂道仕様でコンクリート製ではなく、現地組立式でした。

2025年3月 【NTT電柱の撤去が完了】

 1月に九州電力が新しい電柱を立てましたが、NTT側の工事がなかなか進まないのでおかしいなとは思っていたのですが、なんと町内会長から工事について諸条件を出されていたそうで、それが原因で工事着手ができなかったということでした。白南風町内会長の町内会長としての権限の行使が本末転倒過ぎるのでただただ呆れるばかりですが、なんとか年度内に電柱撤去まで完了することが出来ました。
 この地域の特徴として、広い土地を持つ地主が数人おり住民の大多数がそれら地主の地面を借地して家だけは自分の持ち物だったり、借家だったりする住民が多く住んでいます。土地持ちの住民の多くは、佐世保を捨てて都会へ出ているので、土地と建物を所有する住民が少ないという事情があります。そういう事情もあってか、この地域がクルマが入らない道幅だったり、電柱が通行の妨げになっていても、誰も何も言わずに戦後70年間も放置され続けたんだと思います。
 今の現状を嘆くばかりで立ち上がらない住民が多いなかで、田中理事長が九州電力やNTTに対して、「おかしいじゃないか!」と主張しました。はじめは九電もNTTも、田中理事長の言うことがあまりに突拍子もないことのように聞き流していましたが、半年くらい経つと、九電もNTTも態度が変わってきて、田中さんが言うことの正当性を認めてくれるようになりました。
 本来であれば戦後70年の間に、地主の皆さんと住民の皆さんが協力してやらなければいけなかったことを、田中理事長は1年足らずでやり遂げた形になりました。僕はそれを間近かで見てきましたが、市民の権利、住民の権利を主張して、権力者と戦って自分たちの権利を実現していくプロセスに驚嘆するばかりでした。これは市民革命を経ずに近代化した日本国民が苦手とするプロセスであり、英米仏のような国では当たり前のようなことなのでしょうが、一市民が役所に対して意見を言ったり、巨大寡占企業に対して意見を主張したりすることは、なかなか簡単には出来ることではないと思います。
 近い将来には電力もワイヤレスで送電できるようになる時代が来るとは思いますが、通行の妨げになっている電柱のせいで不便を強いられている同じような地域にとっては、今回の田中さんによる九州電力とNTTに対する交渉の過程は、地域の生活環境の改善の糸口になり得る問題解決へのアプローチとして有意義なものであると思います。